shirakawa go around

17.04.17

下山勝巳

白川村のこれが旬

春、夕暮れ。残雪の大窪池を歩く

さて。下山です。

今回はわりとマイナーな白川村内の観光スポットの、

ちょっとマニアックな話に触れてみようと思います。

 

美しい大窪池

 

白川村大窪には、5月になると大水芭蕉やカタクリが咲き、

ギフチョウが舞い踊るきれいな大窪池という場所があります。

 

こちらが白川村役場HPによる紹介

http://shirakawa-go.org/kankou/guide/470/

 

本日は夕暮れ、この大窪池を訪れてみました。

世界遺産荻町集落辺りはもうほとんど雪が残っていませんが、そこより200mほど

標高の高い馬狩地区や大窪地区はまだ1m以上の積雪があります。

(池までの道は除雪がされていますので、車で行くことができます。すれ違いはできませんが)

 

夕暮れどきの大窪池。

KIMG1964

風のない日には、水面に奥の山がきれいに水面に映ります。

 

この大窪池、実は、あまり知られていないのですが、半人工の池であります。

もともと湿地で池があったものと思われますが、それをせき止め、水位があげられています。

 

大窪池下流の石垣
KIMG1975

 

下流の川底から、1mほど高くなっています。

堰き止められたのは古い古い時代に行われたのであろうと推測されますが、

口伝でも残っておらず、いつごろのことなのかはわかりません。

 

大窪池は山からの湧水の池で、上流側の山中には湧水を飲むことができるような

場所もあります。

子どものころ、池のすぐほとりから、ぷっぷくぷっぷくと砂を吐き出しながら

水が湧き出しているところが何か所かあって、

そこに口をつけて水を飲んだのを覚えていますが、

今はそういう場所はずいぶん減ったように思います。

 

父の子供の頃までは馬狩集落大窪集落では「川底の砂さらい」の人足(※)があって、

大窪池の下流のほうで川底の砂を川から運び上げていたとも聞いています。

大窪池は自然の遷移により、池のほとりに増えた葦が徐々に面積を広げており、

その面積が年々狭くなってきていますが、かつては川や水源となる山が

人の営みと共にあったことで、池としての姿が保たれていたのかもしれません。

(※白川村では村民が協力して力仕事などを行うことを人足と呼んでいます)

 

底なしの池!?

 

そしてまた、この大窪池、底なしの池でもあります。

実際には底はあるのでしょうけれど、こんな話があります。

 

何年か前の聞き取り調査のメモより。

池の上に船を浮かべて、「ここは底がない」と言って船の上から竹竿をなんぼんもつなげて、

スルスルスルと沈めていく。

どこまでもどこまでも竿が泥の中にのみこまれていく。

その人が「ここにはでっかい樹が沈んでいる」と言うところで竿をしずめていくと、

竹竿は途中で何かにあたってコツンと止まる。

そんなことをよく知っていて、やって見せてくれる人が昔いた。

 

馬狩という土地は、はるか遠い遠い古代に西側の山が崩れて

谷がせき止められてできた扇状地で、そのため

その上流の大窪池は実際の見た目の深さよりももっともっと深さがあるようです。

ここらへんは、ちゃんと勉強したことがないのであやふやな知識ではありますが。

 

この大窪池は、西側の山の向こう側、今ではダムの底に沈んでいる大牧集落にあった池と

地中のどこかでつながっており、大窪でもみがらを流すと、

大牧の池に浮かんできたというような昔話もあります。

子どものころからよく行く場所でしたが、

怖いので中に入って水遊びをして遊んだことはありません。

 

不思議な水芭蕉

 

川べりでは、気の早い小さな水芭蕉がすでに咲いていました。KIMG1968

 

 

KIMG1979

もうしばらくして雪が消えると、上流側では大水芭蕉と呼ばれる大きな水芭蕉が咲き始めます。

 

不思議なもので、この水芭蕉から種をとって、

他に植えてもさほど大きく育つことはないようです。

大きくなるのは何かしら環境的な要因なのでしょうか。

以前、池に入って大水芭蕉を根っこから掘って持っていこうとしている

不届き者に出くわして怒ったことがありますが、

おそらく他に持っていったところでさしてはうまく育たないのかもしれません。

 

 

雪崩にはご注意を!

また、大窪池は、雪崩のよく起こる場所でもあります。

 

この写真は何年か前に大きな雪崩が起きた場所の写真
KIMG1969

 

 

大窪池手前の道路横の雪崩の巣

KIMG1981

 

奥に見える、はるか高い山の上から、3つほどのルートで雪が押し寄せてきます。

何十年か前には、池の対岸にまで至る大雪崩があったとも。

今年は大きな雪崩は起きなかったようですが、とかくよく起こるので、

雪崩の起きうる頃に行くもの好きな方には気を付けていただきたいところです。

バックカントリーの方がスノボーやスキーで滑った跡が残っていますが、

ほんと、気を付けてほしいです。

 

未だ深い雪に閉ざされた大窪池、5月のゴールデンウィークごろには雪が溶け、

人がたやすく散策できるようになるでしょう。

 

※5月ごろ、周辺で大きな網を持って振り回している方がいたら、

それはギフチョウ(天然記念物)を密猟しにきた不届き者かもしれません。

きちんとした調査の許可証を持っている方もいらっしゃるのですが、

密猟者が多くいたりもします。

自然に親しむのは結構なのですが、きちんとルールとマナーを

守って触れていただきたい限りです。

さて、この大窪池、大蛇の伝説のある場所でもあります。

それは、また、別の記事で。

この記事を書いた人

下山勝巳

下山勝巳

白川村生まれ、白川村育ちの会社員。趣味できのことったり山菜とったりきのことったり、古い文献に触れてみたり、昔の古い時代の話を調べたり、口伝を記録してみたり、わりと変わったことに興味もってみたりしています

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